バイオマスプラスチックに関連する識別・認証・ラベリング制度
バイオマスプラスチックは、見た目には化石資源由来のプラスチックと区別がつかないため、信頼性の担保等の観点から、識別・認証・ラベリング制度が存在します。バイオマスプラスチックの場合、識別・認証・ラベリング制度ごとに、バイオマス配合率の証明や、持続可能性に関する証明など、監査に重きを置いているポイントが異なります。消費者が信頼できるバイオマスプラスチックを使用した製品をえらぶことができるよう、主なラベリング制度の概要について説明します。
バイオマス配合率を認証する制度の例
バイオマス配合率は、素材や製品中のバイオマス由来の成分の重量割合を表すものです。一定の基準を満たしたものについて認証しラベリングを可能にする制度が活用されています。
日本バイオ プラスチック協会 (JBPA) |
一般社団法人 日本有機資源協会 (JORA) |
公益財団法人 日本環境協会 エコマーク事務局 |
TÜV Austria(欧州) | Din Certco(欧州) | USDA(米国) | |
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制度名 | バイオマスプラ識別表示制度 | バイオマスマーク事業 | エコマーク事業 | OK biobased | Biobased Products | BioPreferred program |
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対象 | バイオマスプラスチック製品 | バイオマス製品 | 特定の植物由来プラスチック(PLA、バイオPE、バイオPET、バイオPTT)を用いた特定分野の商品 (多数の認証基準のうちのひとつ) |
バイオマス製品 | バイオマス製品 | バイオマス製品 |
規格 | ISO 16620-3 参照:バイオマスプラ識別表示制度 |
ISO16620-4をベースに運用※ 参照:バイオマスマーク事業諸規定 |
ISO 16620-3 | EN 16640 | ASTM D 6866 ISO 16620-2 CEN/TS 16137 |
ASTM D 6866 |
バイオマス配合率の基準 | 25%以上 (バイオマスプラスチック度) 度数表示の場合は、25、50、75、90%のみ |
10%以上 (バイオマス度) 5%毎の表示 |
25%以上※ (バイオベース合成ポリマー含有率) ※基準値は商品分野別に異なる。詳細は認定基準を参照のこと。 |
20%以上 (バイオベース炭素含率) 4段階で認証4段階で認証 1ツ星・・・20 - 40% 2ツ星・・・40 - 60% 3ツ星・・・60 - 80% 4ツ星・・・> 80% |
20%以上 (バイオベース炭素含率) 3段階で認証 1.20 - 50% 2.50 - 85% 3.> 85% |
[公共調達制度の対象商品類型] 類型別の基準値 [それ以外] 25% (バイオベース度) |
バイオマスの持続可能性を認証する制度の例
バイオマスの持続可能性についての認証も利用されています。これらは、いずれも最終製品のみを対象するのではなく、原料生産段階から加工段階までのサプライチェーン全体を対象とするものです。
近年はある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:化石由来原料)と混合される場合に、バイオマス原料投入量に応じて、製品の一部に対してバイオマス原料特性の割り当てを行う「マスバランスアプローチ」という手法も登場しており、下記で示すような認証が使われています。
以下に示す認証制度以外にも、原料に特化した認証制度(パームを対象としたRSPO認証、サトウキビを対象としたBONSCRO等)も活用されています。
ISCC Systems | Roundtable on Sustainable Biomaterials |
REDcert | |
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制度名 | ISCC PLUS | RSB Advanced Products | REDcert2 |
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対象 | バイオマス製品全般 | バイオ燃料以外のバイオマス製品等 | 食料品、飼料、化学製品 |
マスバランスアプローチへの対応 (Chain of custody) |
○ | ○ | ○ |
基準 | •環境・社会的な持続可能性 •トレーサビリティ •温室効果ガス削減(任意) |
•環境・社会的な持続可能性 •トレーサビリティ •温室効果ガス削減(比較対象比10%低減) •バイオマス配合率or化石資源使用削減量(25%以上) |
•環境・社会的な持続可能性 •トレーサビリティ •温室効果ガス削減(任意) |
生分解性プラスチックに関連する識別・認証・ラベリング制度
生分解性プラスチックは樹脂ごとに生分解性の能力が異なるため、一般的に、使用する製品・素材が目的の分解環境に適しているかを確認する必要があります。
生分解性の識別には、以下に示すような分解環境に応じた認証・ラベリング制度が活用されます。
分解条件 | 日本バイオプラスチック 協会(日本) |
TÜV Austria(欧州) | Din Certco(欧州) | |
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生分解性 | ![]() |
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工業 コンポスト |
![]() コンポスト化可能 |
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家庭 コンポスト |
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土壌 | ![]() |
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水系 | ![]() |
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海洋 | ![]() |
生分解性プラスチックの認証・ラベリング制度の例
代表的な生分解性プラスチックの認証・ラベリング制度に関する概要は下記の通りです。
日本バイオプラスチック協会(JBPA) | TÜV Austria(欧州) | Din Certco(欧州) | ||
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制度名 | 生分解性プラ識別表示制度 | OK compost INDUSTRIAL | Products Made of Compostable Materials (DIN-Geprüft) | |
表示マーク | ![]() |
![]() コンポスト化可能 |
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規格 | 生分解性 プラ識別表示基準 |
コンポスト化可能生分解性 プラ製品基準 |
EN13432, EN14995 | EN13432 妥当な場合は、 ASTM D6400、EN14995、ISO17088、ISO18606、 AS 4736 |
認証対象 | ポジティブリスト方式 (樹脂のみが対象) |
製品 (樹脂、フィルム、最終製品の全てが認証の対象) |
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基準 | 生分解性、重金属・有害物質、経口急性毒性・環境安全性 | 生分解性、崩壊性、重金属・有害物質、植害試験 | ||
崩壊性、植害試験 |
参考情報:「令和3年度バイオプラスチック及び再生材利用の促進に向けた調査・検討委託業務」(p146-158)