製造・販売事業者等による自主回収・再資源化

プラスチックの資源循環を促進するためには、プラスチック使用製品の性状や排出実態について情報を持ち合わせている、当該プラスチック使用製品の製造、販売又は提供する事業者が、自治体や消費者と協力して積極的に自主回収・再資源化を行うことが期待されています。
回収拠点が増加することで消費者が使用済プラスチック使用製品の分別・回収に協力しやすくなり、製造・販売事業者等にとっても効率的に資源を集めることが可能になります。
本制度では、製造・販売事業者等が「自主回収・再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく業の許可がなくても、使用済プラスチック使用製品の自主回収・再資源化事業を行うことができます。
計画の作成にあたっては、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則」、「分別収集物の基準並びに分別収集物の再商品化並びに使用済プラスチック使用製品及びプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化に必要な行為の委託の基準に関する省令」及び「自主回収・再資源化事業計画認定申請の手引き」をご参照ください。
なお、「再資源化」に熱回収は含まれませんので、再資源化を含まずに熱回収のみを再資源化事業の内容とした再資源化事業計画は、認定の対象とはなりません。


自主回収・再資源化事業のスキーム

自主回収・再資源化事業計画認定状況

  認定番号 認定年月日 認定を受けた者 再資源化を実施する使用済
プラスチック使用製品の種類及び重量
再資源化の実施方法 再資源化により
得られた物の利用方法
1 第1号 令和5年4月19日 緑川化成工業株式会社 使用済アクリル板:100t/年 材料リサイクル
(ペレット)
再生アクリルシート製造
2 第2号 令和6年3月1日 花王株式会社及び
花王ロジスティクス
株式会社
使用済みつめかえパック
(つめかえ用フィルム容器):1.5t/年
材料リサイクル
(洗浄・微細化フィルム破砕物)
容器製造原料
3 第3号 令和6年3月6日 積水化成品工業
株式会社
発泡スチロール(ビーズ)
家電の緩衝材など:2t/年
発泡スチロール(シート)
白色トレーなど:0.1t/年
材料リサイクル
(PSインゴット・ペレット)
発泡スチロール製造
4 第4号 令和6年7月22日 イオンディライト
株式会社
アクリル板:38t/年
PET板:35t/年
塩ビ板:5t/年
材料リサイクル 弱電気製品パーツ
玩具・雑貨品
建設資材パーツ製造など
5 第5号 令和6年8月20日 川上産業株式会社 ポリエチレン
(気泡緩衝材):130.4t/年
材料リサイクル 再生ペレット
(気泡緩衝材原料)

緑川化成工業

事業の特徴①:使用済みアクリルのクローズド・リサイクル

事業の特徴②:エコマークを取得した国内唯一のアクリル板

  • 再生原料含有率が約80%であり、(財)日本環境協会が認定するエコマーク商品、環境省が管理するグリーン購入商品の開発に貢献する
  • 一般バージン品を比較し簡略された製造工程であるため、製造時のCO2排出量を71%削減する
  • ハイスペックなアクリル成形品を使用しているため、アクリル樹脂独自の透明性を担保している
【用途例】
  • オフィス家具・文具・図書館用品
  • スイングドア
  • 照明カバー 等

出所:申請資料、緑川化成工業HPよりデロイトトーマツ作成


花王

事業の特徴①:使用済つめかえパックの水平リサイクル

事業の特徴②:異物の除去技術によって実現したフィルムリサイクル技術

  • 選別工程でアルミ箔が含まれるつめかえパックを除外することで、フィルム化の品質向上へつながった 製品化にあたって、異物を除去することで凹凸のない滑らかなフィルムを作る「つめかえ一括リサイクル技術」を開発 2023年5月から限定発売した「アタックZERO つめかえ用(1,620g)」では、10%のリサイクルした素材を用いて製品化した。
【用途例】
  • 洗剤つめかえパック

出所:申請資料、花王株式会社HPよりデロイトトーマツ作成


積水化成品工業

事業の特徴①:使用済み発泡スチロールのクローズド・リサイクルスキーム*1

*1 一般廃棄物のフローを示している

事業の特徴②:リサイクル原料を使用した発泡性ポリスチレンビーズ

  • 再資源化された発泡スチロールは30~100%のリサイクル原料が含まれた「エスレンビーズRNW」等*2にリサイクルされる ライフサイクル全体で環境負荷に配慮した製品「サステナブル・スタープロダクト認定」として登録されている 「サステナブル・スタープロダクト」は、2030年までに登録件数100件、売上高比率50%を目標としている
【用途例】
  • 家電やOA機器の緩衝材

*2 認定を取得予定のためリサイクルを想定した製品
出所:申請資料、積水化成品工業HPよりデロイトトーマツ作成


三重中央開発

事業の特徴:複数の事業者から回収した廃プラを自社施設で物流パレットとして再生

  • 近隣の企業5社が排出した廃棄プラスチックを回収し、三重県内の自社施設でプラスチックの原料として再生し、物流パレットなどの産業製品などとして新たに使われる。
  • 第48条第1項第2号に基づく再資源化事業計画を提出。排出するプラスチック使用製品産業廃棄物等について再資源化事業を行おうとする者として、全国初の認定

出所:日本経済新聞, https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20230420550118/


DINS関西

事業の特徴:PETボトルと廃棄飲料のリサイクルの両立

  • 飲料分類後のPETボトルを「RAC事業所」においてリサイクルし、樹脂原料として出荷している
  • 分離された飲料は同一敷地内の「バイオエタノール事業所」でリサイクルされている
  • 設備全体を屋内に設置することで、周囲への環境面への配慮を行っている
  • 約10年前より廃棄燃料の受け入れを開始後、飲料容器の解体設備を導入することで、処理前の廃棄飲料と飲料容器を排出事業者から直接搬入し、リサイクルすることが可能となった

出所:日本経済新聞, 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」第48条に基づく国内初となる再資源化事業計画の認定取得に関するお知らせ、DINS関西株式会社HPよりトーマツ作成


浪速運送

事業の特徴:トレーサビリティ技術によるサーキュラーサプライチェーンの実現

  • レコテック社によるプラスチックの回収から処分のオペレーション・情報管理ツール「pool」を活用し、資源を可視化することで動脈・静脈物流を活用した効率的な回収が可能となる
  • 精度の高い分別技術により、「pool resin」ではバージン材と比較して製造にかかるCO2排出量の最大77%削減が見込まれる。また、適切に分別されたプラスチックのみを回収対象としていることから、環境負荷が少ないサプライチェーンを構築している
  • 東京都の「プラスチック資源循環に向けた革新的技術・ビジネス推進プロジェクト」に選定され、プラ新法の施行に先駆けて東京都との再生利用指定制度を利用した共同実証事業として事業展開している

出所:レコテック株式会社, https://recotech.co.jp/news/pool-naniwa-2024/