排出事業者による排出の抑制・再資源化等

1排出事業者が取り組むべき排出の抑制や再資源化等

排出事業者(事務所、工場、店舗等で事業を行う多くの事業者が対象)は、その事業活動に伴い生ずるプラスチック使用製品産業廃棄物等を適正に処理する責任を有していますが、加えて、一層のプラスチックの資源循環の促進のため、積極的なプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化等が求められています。
具体的には、排出事業者には、「排出事業者のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の促進に関する判断の基準となるべき事項等を定める命令」(排出事業者の判断基準省令)に基づく排出の抑制・再資源化等の取組が求められます。


2再資源化事業計画

本制度では、排出事業者等が「再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に基づく業の許可がなくても、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行うことができます。
計画の作成にあたっては、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則」、「分別収集物の基準並びに分別収集物の再商品化並びに使用済プラスチック使用製品及びプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化に必要な行為の委託の基準に関する省令」及び「排出事業者等による再資源化事業計画認定申請の手引き」をご参照ください。


(1)排出事業者が取り組むべき排出の抑制・再資源化等

排出事業者の判断基準省令に基づく取組は、小規模企業者等を除き、すべての排出事業者(事務所、工場、店舗等で事業を行う事業者の多くが対象)に求められるものです。

また、多量排出事業者については、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制・再資源化等に関する目標を定め、これを達成するための取組を計画的に行うことが求められます。
主務大臣は、必要があると認める時は、排出事業者に必要な指導及び助言を行い、多量排出事業者に対しては、取組が著しく不十分な場合に、勧告・公表・命令等を行うことがあります。

主務大臣「判断の基準」を策定

プラスチック使用製品産業廃棄物等

プラスチック使用製品産業廃棄物等とは、プラスチック使用製品廃棄物のうち廃棄物処理法で規定された産業廃棄物に該当するもの又はプラスチック副産物(製品の製造、加工、修理又は販売その他の事業活動に伴い副次的に得られるプラスチック)を指します。

産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物であって、廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物(廃プラスチック類等)のことを指します。そのため、事業活動に伴って排出されたプラスチック使用製品廃棄物であれば、本制度で規定するプラスチック使用製品産業廃棄物等に該当します。

具体的には、例えば一般的なオフィスであっても事業活動に伴って生じるボールペンやクリアファイル、バインダー等もプラスチック使用製品産業廃棄物等の対象となります。また、工場や店舗にあっては、事業活動に伴って生じるプラスチック製の端材や緩衝材等も対象となります。
参照:https://www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/bunrui/index.html


小規模企業者等

  • 従業員の数が20人以下の、商業・サービス業以外の業種を行う会社・組合等
  • 従業員の数が5人以下の、商業又はサービス業の業種を行う会社・組合等

多量排出事業者

  • 前年度におけるプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が250トン以上である排出事業者

排出事業者の排出の抑制・再資源化等に関する判断基準省令の概要

  1. 排出の抑制・再資源化等の実施の原則
    プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等に関する技術水準及び経済的な状況を踏まえつつ、事業活動で使用するプラスチック使用製品の安全性や機能性等の必要な事情に配慮した上で、プラスチック使用製品産業廃棄物等について、可能な限り、①排出を抑制すること、②適切に分別して排出すること、③再資源化を実施することができるものは再資源化を実施すること
    ④再資源化を実施することができないものであって、熱回収を行うことができるものは、熱回収を行うこと。
    再資源化等を適正に実施することができる者に委託すること。また、委託する場合であっても、再資源化を実施することができない場合に、熱回収を適正に行うことができる者に委託すること。
  2. 目標の設定
    多量排出事業者は、排出の抑制及び再資源化等に関する目標を定め、これを達成するための取組を計画的に行うこと。
  3. 情報の公表
    多量排出事業者は、毎年度、前年度の排出量及び目標の達成状況に関する情報をインターネット等で公表するよう努めること。
    排出事業者(多量排出事業者を除く。)は、毎年度、前年度の排出量と、排出の抑制及び再資源化等の状況に関する情報をインターネット等で公表するよう努めること。
  4. 情報の提供
    再資源化等を委託する場合、受託者に対して、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出及び分別の状況、性状及び荷姿に関する事項といった必要な情報を提供すること。
  5. 加盟者における排出の抑制及び再資源化等の促進
    本部事業者は、加盟者の事業において排出の抑制及び再資源化等に関し必要な指導を行い、排出の抑制及び再資源化等を促進するよう努めること。
    加盟者は、本部事業者が実施する排出の抑制及び再資源化等の措置に協力するよう努めること。
  6. 教育訓練
    従業員に対して、排出の抑制及び再資源化等に関する必要な教育訓練を行うよう努めること。
  7. 管理体制の整備
    排出量、排出の抑制及び再資源化等の実施量といった排出の抑制及び再資源化等の状況を適切に把握し、その記録を行うこと。
    記録の作成等の排出の抑制及び再資源化等に関する事務を適切に行うため、事業場ごとの責任者の選任といった管理体制の整備を行うこと。
  8. 関係者との連携
    プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等を効果的に行うため、国、関係地方公共団体、消費者、関係団体及び関係事業者との連携を図るよう配慮すること。その際、必要に応じて取引先に対し協力を求めるものとすること。

排出の抑制に当たって排出事業者が行う取組(判断基準における1.①に関する取組)

  1. プラスチック使用製品の製造、加工又は修理の過程において、下記のような排出の抑制を促進する取組を行うこと
    • 原材料の使用の合理化を行うこと
    • 端材の発生を抑制すること
    • 端材やプラスチック使用製品の試作品を原材料として使用すること
  2. 流通又は販売の過程において使用するプラスチック製の包装材について、下記のような排出の抑制を促進する取組を行うこと。
    • 簡素な包装を推進すること
    • プラスチックに代替する素材を活用すること
  3. その事業活動において使用するプラスチック使用製品について、下記のような排出の抑制を促進する取組を行うこと。
    • なるべく長期間使用すること
    • 過剰な使用を抑制すること
    • 部品又は原材料の種類について工夫されたプラスチック使用製品を使用すること

再資源化等に当たって排出事業者が行う取組(判断基準における1.③及び④に関する取組)

  • リチウムイオン蓄電池を使用する機器といった、再資源化等を著しく阻害するおそれのあるものの混入を防止すること
  • 周辺地域に再資源化を適正に実施することができる者が存在しない場合や、廃棄物に感染性病原体が付着しているおそれがある場合といった、再資源化を実施することができない場合において、熱回収を行うことができるものは、熱回収を行うこと
  • 自ら熱回収を行う場合、可能な限り効率性の高い熱回収を行うこと
  • 熱回収を委託する場合、可能な限り効率性の高い熱回収を行う者を選定すること
  • 廃棄物の飛散や流出といった、生活環境の保全上の支障が生じないよう措置を講ずること

(2)再資源化事業計画

本制度では、排出事業者等が「再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物処理法に基づく業の許可がなくても、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行うことができます。
計画の作成にあたっては、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行規則」、「分別収集物の基準並びに分別収集物の再商品化並びに使用済プラスチック使用製品及びプラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化に必要な行為の委託の基準に関する省令」及び「排出事業者等による再資源化事業計画認定申請の手引き」をご参照ください。
なお、「再資源化」に熱回収は含まれませんので、再資源化を含まずに熱回収のみを再資源化事業の内容とした再資源化事業計画は、認定の対象とはなりません。


再資源化事業計画の申請ができる対象者

①排出事業者

自らが排出するプラスチック使用製品産業廃棄物等について、再資源化事業を行おうとする排出事業者(当該プラスチック使用製品産業廃棄物等の収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託して当該再資源化事業を行おうとする者を含む。)

再資源化事業のスキーム(排出事業者が申請者となる場合)
②複数の排出事業者の委託を受けた、再資源化事業者

複数の排出事業者の委託を受けて、これらの者が排出するプラスチック使用製品産業廃棄物等 について再資源化事業を行おうとする者(当該プラスチック使用製品産業廃棄物等の収集又は運搬の全部又は一部を他人に委託して当該再資源化事業を行おうとする者を含む。)

再資源化事業のスキーム(再資源化事業者が申請者となる場合)

再資源化事業計画認定状況

  認定番号 認定年月日 認定を受けた者 再資源化を実施するプラスチック
使用製品産業廃棄物等の種類及び重量
再資源化の実施方法 再資源化により
得られた物の利用方法
1 第1号 令和5年4月19日 三重中央開発株式会社 食品包装資材:360t/年
工場端材:280t/年
材料リサイクル
(ペレット)
パレット製造等
2 第2号 令和5年4月19日 DINS関西株式会社 廃棄ペットボトル:201t/年 材料リサイクル
(ペットボトル圧縮梱包物)
飲料用
ペットボトル製造
3 第3号 令和6年1月16日 浪速運送株式会社 アパレル由来の
プラスチック軟質フィルム
(衣類用カバー、PE・PP):250t/年
材料リサイクル ペレット製造
4 第4号 令和6年4月19日 木村工業株式会社 歯ブラシ:17.46t/年
ヘアブラシ:10.92t/年
カミソリ:5.97t/年
プラカップ:2.02t/年
歯間ブラシ:1t/年
材料リサイクル ペレット原料資材
5 第5号 令和6年7月22日 宏幸株式会社 風車ブレード(FRP)、バスタブ(FRP):311t/年
ケーブル被覆(PVC):630t/年
材料リサイクル 太陽光発電における下敷マット
6 第6号 令和6年9月18日 天馬株式会社 樹脂団子(PP):200t/年 材料リサイクル 自社製品(ハウスウェア製品等)