「バイオプラスチック導入ロードマップ」の主な内容を紹介します。
導入の基本方針
バイオプラスチックには貴重な資源を使用していることに鑑み、導入する際には、以下の2点を原則とします。
・ワンウェイの容器包装・製品をはじめ、回避可能なプラスチックの使用を合理化し、無駄に使われる資源を徹底的に削減すること。
・バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの双方の環境負荷低減効果等の価値を最大限活かすこと。
その上で、以下の表に示す基本方針に沿って導入を進めていくことが望まれます。
➀導入の基本方針 | |
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原料 | 原料の多様化を図るため、国内バイオマス(資源作物、廃食用油、パルプ等のセルロース系の糖等)の原料利用の幅を拡大(食料競合等の持続可能性に配慮)。 |
供給 | 国内外からの供給拡大を進めていくが、供給増に向け、国内製造を中心に、本邦企業による製造も拡大。 |
コスト | 関係主体の連携・協働によりコストの最適化を目指す。また、利用者側に対する、環境価値の訴求等を行い、環境価値を加味した利用を促進。 |
使用時の機能 | 汎用性の高いバイオプラスチックや耐久性、靱性等に優れた高機能バイオプラスチックを開発・導入を目指しつつ、製品側の性能を柔軟に検討し、幅広い製品群への対応を促進。 |
使用後のフロー | 使用後のフロー(リサイクル、堆肥化・バイオガス化に伴う分解、熱回収等)との調和性が高いバイオプラスチックを導入。 |
環境・社会的側面 | ライフサイクル全体で持続可能性(温室効果ガス、土地利用変化、生物多様性、労働、ガバナンス、食料競合等)が確認され ているものを使用。 |
プラスチック製品領域毎の導入に適したバイオプラスチック
バイオプラスチック導入ロードマップでは、基本方針に沿って製品領域毎の導入に適したバイオプラスチックについて定め、表3-2にまとめています。このページでは、具体的な製品への導入を検討する時に活用しやすいように「バイオプラスチック導入検討フローチャート」を作成しましたので、表3-2と合わせてご活用ください。
バイオプラスチックの活用においては、カーボンニュートラルや生分解性などのメリットを最大限に活用しながら、プラスチックの資源循環を実現することが望まれます。
このためロードマップでは、リサイクル調和性が確認されているバイオマスプラスチック(非生分解性)については、容器包装から家庭やオフィス等で使用される日用品等まで、さらには機械、建材、輸送用の製品にまで、導入することに適していると整理しています。
バイオマス由来の生分解性プラスチックについては、農地の土壌にすき込むタイプの農業用マルチフィルムや、肥料に用いる被覆材、強度や耐久性が求められない漁具等、堆肥化・バイオガス化等に用いる生ごみ用収集袋といった、自然環境に意図せず流出してしまう用途や廃棄物処理の合理化を目的とした用途で使用することを明示しています。ただし、当該素材を限定して回収・選別し、焼却やリサイクルできる仕組みがあるならば、バイオマスプラスチック(非生分解性)と同様に様々な用途での使用も可とされています。
この理由としては、バイオマス由来の生分解性プラスチックは、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチック両方のメリットを得られるともいえますが、樹脂の組成上、リサイクル阻害要因となり得るものがあるためです。
上記を踏まえながら、バイオプラスチックの導入を検討する際には、「再生材の品質」やプラスチック原料に戻る「収率」などの面で、経済合理的で効率的なプラスチックの資源循環を実現できるように、「リサイクル調和性」についても考慮しながら、環境負荷低減効果がより高い樹脂の選択を行うことが重要です。
なお、同様の考え方は、バイオマス複合素材(紙粉、木粉、資源米、工業用澱粉、貝殻粉、石灰石等と複合したプラスチック)についても当てはまり、プラスチックをリサイクルする際に、リサイクル阻害要因とならない用途での使用や分別・回収方法とする必要があります。
表3-2 プラスチック製品領域毎の導入に適したバイオプラスチック(詳細)
類型:1 | バイオマスプラスチック(非生分解性)の内、リサイクルに悪影響がないもの。以下①、②のいずれかに該当するバイオマスプラスチック(非生分解性) ①バイオマス由来の汎用プラスチック(現時点では、バイオPE、バイオPP、バイオPETが該当し、PVC、PSがバイオマス由来での製造が実用化された際には追加) ②汎用プラスチック以外のプラスチック種であって、製品に必要な品質・性能の観点から使用されている化石資源由来の高機能プラスチック等を代替する同種のバイオマスプラスチック(例:PA→バイオPA、PC→バイオPC) |
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類型:2 | バイオマスプラスチック(非生分解性) |
類型:3 | 生分解性プラスチック。分解環境に適した生分解機能を持つプラスチック |
製品領域 | 導入に適したバイオプラスチック | 製品領域毎に 留意が必要な事項 (使用後のフローにおけるリサイクル調和性等の影響) |
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容器包装等/コンテナ類 | 類型:1 | 使用後の影響の観点から、リサイク ル調和性が高い「類型1」を導入。ただし、分別収集・選別により単一 プラスチック種でリサイクルされる 場合は、すべての類型も該当し得るため、環境負荷低減効果がより高いものを選択。 | バイオプラスチックがリサイ クルへ混入した際に悪影響 がないことが求められる。 | |
プラスチック製買物袋 | ||||
電気・電子機器/ 電線・ケーブル/機械等 |
類型:1 | |||
家庭・オフィス等で使用される 日用品/衣類履物/家具/玩具等 |
類型:1 | |||
可燃ごみ用収集袋 | 類型:1 | 特に温室効果ガス排出抑制に資す る「類型2」を導入。 | 熱回収を阻害しないことが求められる。 | |
堆肥化・ バイオガス化等 に用いる生ごみ用 収集袋 |
類型:2 | 使用後の機能の観点から、「類型 3」のうち、堆肥化・バイオガス化等での生分解機能を持つものを導入。 | 堆肥化・バイオガス化等に伴う分解の際、十分な生分解機能があることが求められる。 | |
建材 | 類型:3 | 使用後の影響の観点から、リサイク ル調和性が高い「類型1」を導入。ただし、分別収集・選別により単一 プラスチック種でリサイクルされる 場合は、すべての類型も該当し得る ため、環境負荷低減効果がより高い ものを選択。 | バイオプラスチックがリサイ クルへ混入した際に悪影響がないことが求められる。 | |
輸送 | 類型:1 | |||
農林・水産 | 類型:1 | |||
農業用 マルチフィルム |
類型:1 | 【回収・リサイクルの場合】 使用後の影響の観点から、リサイク ル調和性が高い「類型1」を導入。ただし、分別収集・選別により単一 プラスチック種でリサイクルされる場合は、すべての類型も該当し得る ため、環境負荷低減効果がより高い ものを選択。 | バイオプラスチックがリサイ クルへ混入した際に悪影響がないことが求められる。 | |
類型:3 | 【農地の土壌にすき込む場合】 使用後の機能の観点から、「類型3」のうち、土壌生分解機能を持つものを導入。ただし、農作業の一環 として、適正な管理のもと農地へす き込む場合に限る。 | 土壌での生分解機能がある ことが求められる。 | ||
肥料に用いる 被覆材 |
類型:3 | 使用後の影響の観点から、「類型 3」のうち、土壌及び海洋での生分解機能を併せ持つものを導入。 | 自然環境に流出した際の土壌及び海洋での生分解機能があることが求められる。 | |
漁具等 水産用生産資材 |
類型:1 | 【回収・リサイクルの場合】 使用後の影響の観点から、リサイク ル調和性が高い「類型1」を導入。ただし、分別収集・選別により単一 プラスチック種でリサイクルされる 場合は、すべての類型も該当し得る ため、環境負荷低減効果がより高いものを選択。 | バイオプラスチックがリサイ クルへ混入した際に悪影響 がないことが求められる。 | |
類型:3 | 【必ずしも高い強度や耐久性が求められない場合】 使用後の影響の観点から、「類型 3」のうち、海洋生分解機能を持つ ものを導入。 |
海洋環境に流出した際の海 洋生分解機能があることが求められる。 |
- リサイクルにおける「阻害」や「リサイクル調和性」とは?
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「バイオプラスチック導入ロードマップ」における「阻害」 や「リサイクル調和性」とは、どういう意味でしょうか。
例えば、回収・選別されたプラスチックに熱を加えることで融解し、再度樹脂に成形するマテリアルリサイクルでは、目的の樹脂以外の樹脂等が混入すると、リサイクルされた再生材の物性が低下することがあります。これにより、再生材の品質が劣化し、結果として品質基準を満たす再生材の歩留まりが悪くなるので、リサイクルの収率を下げることがあります。
このようなリサイクルへの悪影響がいわゆる「阻害」であり、リサイクル阻害を引き起こしにくいことを「リサイクル調和性」があるとしています。